長い長いプラグインのインストールやらオーソライズやらといった作業も終え、UAD-2プラグインも含めて新環境にて動かせるようになりましたので、皆様お待ちかねのパフォーマンス比較の記事になります。(UADの件に関しましては、私よりも某掲示板の諸先輩方の方が遥かに詳しい情報をお持ちなようですので、ここでは割愛しますね。)
比較の前に、こちらの記事でも書いたようにWindows 10ではMMCSSの制限でRyzen Threadripper 1950Xのような多コアのCPUではプチノイズが発生するという情報がSteinbergにあります。これはOS(Windows10)の制限なので、Cubaseに限らずオーディオを扱う全てのDAWで発生する問題なはずですが、日本語圏ではあまり32スレッド限界に関する情報を拾うことができませんね。このような制限に引っかかるようなマルチCPUやメニーコアCPUで、Windows10環境の方はまだあまりいらっしゃらないということでしょうか?Steinbergでさえ、日本語ページではMMCSSについてアナウンスしてないみたいですし…。
Cubase/Nuendoでは、使用CPU数を制限するプロパティファイルをAppDataフォルダ内に置き、上記の問題を回避するのですが……、これが効いているのか効いていないのかよくわらないのです。CPU負荷的にはまだ余裕があるように見えるのにプチっとノイズが発生することもあって、結局私の環境ではBIOSの設定からCPUのSMTをオフにし、Ryzen Threadripperを16コア16スレッドで動かす設定にしています。これならばMMCSSの制限にもかかりませんし、オフにしたからと言って目に見えて体感速度が遅くなるといったこともありません。DAWでの負荷も見た感じでは変わっていないですが、Cinebenchのスコアは大きく下がります。
パフォーマンス比較に使用するプロジェクトは、「ラブライブ!サンシャイン!!」にて楽曲提供させていただいた「太陽を追いかけろ!」を使って比較していきます。この曲はほとんどのトラックが打ち込みなので、終始CC情報たっぷりなそこそこの負荷がかかるプロジェクトとなっております。こちらが比較表です。
WindowsPC | MacPro[2010] | |
---|---|---|
48sample | ![]() | NoDATA |
64sample | ![]() | NoDATA |
128sample | ![]() | ![]() |
256sample | ![]() | ![]() |
512sample | ![]() | ![]() |
プロジェクト設定は48kHz、32bit Floatで、どちらもRME Fireface 800(Firewire800で接続)です。だいたい負荷が一番高くなるあたりでスクリーンショットを撮っています。しかし、この結果はさすがに驚きました。ASIO-Guardが優秀なのもありますが、最小バッファ値の48sampleでも常用できそうな感じです。やはり7年分の世代差ということなのか、どのプラグインを立ち上げてもあからさまに分かるぐらいに待ち時間が減り、すごく軽いプラグインを立ち上げてるような感覚になりました。
では、96kHzではどうか。オーディオI/Fで設定できる最小バッファ96sampleでの負荷がこちらです。
さすがに負荷は高くなりますが、まだプラグインを増やしても耐えれそうな雰囲気です。
以下はレイテンシーの比較表です。
WindowsPC 入力Latency | WindowsPC 出力Latency | MacPro[2010] 入力Latency | MacPro[2010] 出力Latency |
|
---|---|---|---|---|
[48kHz] 48sample | 1.938ms | 3.000ms | - | - |
[48kHz] 64sample | 2.271ms | 3.333ms | - | - |
[48kHz] 128sample | 3.604ms | 4.667ms | 4.271ms | 4.667ms |
[48kHz] 256sample | 6.271ms | 7.333ms | 6.938ms | 7.333ms |
[48kHz] 512sample | 11.604ms | 12.667ms | 12.271ms | 12.667ms |
[96kHz] 96sample | 1.469ms | 2.667ms | - | - |
[96kHz] 128sample | 1.802ms | 3.000ms | - | - |
[96kHz] 256sample | 3.135ms | 4.333ms | - | - |
こちらはPC全体の消費電力比較です。SANWAのワットモニターを使って確認しています。
WindowsPC | MacPro[2010] | |
---|---|---|
OS起動直後 | 145W | 195W |
DAW高負荷時 | 216W | 287W |
Cinebench高負荷時 | 294W | 356W |
負荷状況から見ればRyzen Threadripperに乗り換えたのは大正解でした。負荷が下がるということは処理能力に余裕ができるということで、不意にDAWが落ちるといった状況が減るという期待が持てます。また、低レイテンシーで気持ちよく鍵盤を弾けるということはMIDIを録った後の処理も少なく済みそうで、間違いなくストレスの減少につながります。何か音色を足そうと思ってもCPU負荷を気にせずに試せます。
ただ、やはりmacOSに見慣れると、Windows10はどうしても見劣りしてしまいますね。フォント関係が酷く、特にHiDPIに関してはWindowsは絶望的で、Nuendoのメニューの文字は滲み、対策として強制的にDPIスケールを「システム」にしようなら今度はプラグインの画面が小さくなってしまいます笑 それじゃあmacOSを手放しで褒められるかというとそうでもなく、あの初速が遅いニュルっと動き出すマウスカーソルがとても苦手です。対策アプリはOSのアップデートで塞がれ、開発中止になる始末…。Finderのカラーラベルもタグになって見辛くなり、OSのアップデートでどんどん不便になっていく印象。OSはどちらも一長一短、上手にお付き合いしていければなぁと思います。
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